▼能登半島地震は、発災から3週間になる。しかし、大きな余震が続く状況も災いし、電気や水道などインフラの復旧が大幅に遅れ、避難所の生活も不自由を強いられている。今回の震災では、土砂崩れや陥没で国道など主要な道路が多くの箇所で寸断された。多数の集落が孤立状態となり、救命や消防などの活動が十分にできず、支援物資の輸送に支障を来した要因と指摘されている。
▼1995年の阪神・淡路大震災では、建物の倒壊などで主要な幹線道路が塞〈ふさ〉がれ、緊急車両の通行を妨げた。これを教訓に避難や救助、支援物資の輸送などを優先する緊急輸送道路の整備が進められ、高速道路や国道など都道府県知事が指定する道路は全国で10万キロを超える。同時に沿道建築物の耐震化も促すとしていたが、どこまでできていたのだろう。今回の事態を検証し、交通網を確保する対応策を講じてほしい。
▼ただ、並行して孤立状態になった場合の備えも必要に思う。この点では、主要な道路沿いにある「道の駅」の防災機能強化に期待している。現在は全国1209カ所のうち、39カ所を「防災道の駅」に選定。耐震化や無停電設備の導入、緊急ヘリポートの整備など、災害時に防災拠点機能が発揮できるようハード・ソフトの強化が図られている。
▼防災・減災と国土強靱化は政府の重要政策だが、大規模な災害が起きる度に新たな課題が表れ、対応に追われる繰り返しだ。それでも災害による不幸を減らすには、一つ一つ対策を積み重ねていくしかないのだろう。