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肉牛の衛生管理徹底 有害獣駆除にも注力【12月2週号 岩手県】

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 【岩手支局】奥州市衣川の熊谷翼〈たすく〉さん(33)は、祖父の清蔵さんが代表理事を務める農事組合法人熊谷畜産で、祖父、父の清悦さんとともに3世代で肉用牛170頭を飼養。畜産経営の傍ら、狩猟免許を取得し、イノシシ、ニホンジカ、クマなどの有害鳥獣駆除に取り組む。翼さんは酪農学園大学を卒業後、2013年に新規学卒者を対象とした同市の就農補助制度を利用して実家で就農した。「幼いころから家に牛がいたので、将来は畜産に携わることしか考えていなかった」と翼さん。現在は繁殖牛60頭、肥育牛110頭を飼う。牛舎内で病気がまん延しないように、敷料の管理に気を配る。「敷料を小まめに交換し、清潔な床にすることで、獣医師に診てもらう回数が大幅に減った」。牛白血病の対策として、牛舎周りにミントを植えている。「牛白血病はアブなどの吸血昆虫が媒介となって発病する」と翼さん。NOSAI獣医師に相談すると、ミントにはアブが嫌がる成分が含まれているため試すように勧められたという。「今年植えてみたところ、昨年より牛舎内のアブが減った。ミントを株分けして、別の牛舎の周りにも広げていきたい」と話す。「牧草地をイノシシに荒らされることが毎年の悩みの種」と翼さん。有害鳥獣を駆除する目的で狩猟免許を21年に取得した。市内の山林に仕掛けたくくりわなにかかったイノシシやニホンジカを猟銃で仕留める。昨年は約50頭のイノシシを駆除したという。「有害鳥獣の生息数が減らないと被害は少なくならない。電気柵などで寄り付かないようにすることも大事だが、ある程度の駆除も大事」と翼さん。「被害は増えていくと思うので、地域の農業を守るためにも活動を続けていきたい」と話す。

〈写真:「今年はすでにイノシシ20頭、クマ2頭を駆除した」と翼さん〉