【岡山支局】4経営体で構成する「小田川鬼おん」は、備中エリアでタマネギの産地化を目指している。生産から出荷まで共同体制が各経営体の収益につながった。同団体の結成は2021年。矢掛町の矢神毎戸〈やがみまいど〉営農組合、笠岡市の奥山〈おくやま〉営農組合、井原市のファーム県主〈あがたぬし〉の3農事組合法人と笠岡市の守谷謙祐〈もりや・けんすけ〉さん(46)が所属する。結成当時の栽培規模は約3ヘクタールだったが、現在は約7ヘクタールに拡大した。タマネギ栽培は多くの人手が必要になる。より効率的な生産出荷体制の必要性を感じた矢神毎戸営農組合の組合長・高月周次郎〈たかつき・しゅうじろう〉さん(73)は、共通の悩みを抱える法人に声をかけ同団体を結成。各経営体の労働力共有が可能になった。作業効率を上げるため、大量集荷が可能な鉄コンテナを導入した。20年にはJAの支援で調製・選別用のタッピングマシンを設置し、機械作業に移行。省力化に取り組みながら、同団体内の選別・出荷体制を整えた。農業普及指導センターなど、関係機関との情報共有に無料通話アプリ「LINE」のトーク機能を活用する。気象や病害虫情報、防除方法など、栽培管理に当たっての注意喚起が共有され、法人同士の連絡網にも使う。奥山営農組合理事の有本正義〈ありもと・まさよし〉さん(78)は「連絡網のおかげで、圃場の情報が各法人とすぐに共有できる。栽培管理のことも関係機関に相談しやすくなった」と話す。同団体は若手農家の勉強の場としても機能する。守谷さんは就農3年目で、ファーム県主の代表・森岡知義〈もりおか・ともよし〉さん(50)は2年目。栽培管理に不安を抱えていたが、ベテラン構成員の教えを受けて自信を付けた。森岡さんと守谷さんは「先輩方がとても頼もしい。農業全般の指導を受けられてありがたい。学ぶことが多く勉強の毎日だ」と感謝する。
〈写真:定植後の根の活着を良くするため、タマネギ苗は約20センチに切りそろえる〉