【石川支局】「青パパイアを七尾の新たな特産にしたい」と話すのは、七尾市下町で農業を営む野見弘〈のみ・ひろし〉さん(80)。2021年に、15アールの畑で青パパイアの苗木10本を試験的に育てたところ手応えを感じ、昨年から苗木を100本に増やし本格的に栽培・収穫を始めた。地元のスーパーや道の駅の直売所に出荷するほか、オーナー制度を導入している。野見さんが栽培するのは、茨城県の農園が開発した「サンパパイヤ」。パパイアは、通常は熱帯地域で育つが、サンパパイヤは寒冷地でも育つように改良されている。青パパイアはシャキシャキとした食感で、味にくせがない。サラダのほか、煮物や天ぷらなどの料理に幅広く活用できる。タンパク質・糖分・脂質の三大栄養素を同時分解するパパインと呼ばれる食物酵素を豊富に含み、健康野菜として注目されている。今年は昨年より40本増やして140本の苗木を植えた。4月に定植した後、適宜に追肥し、10月中旬から11月にかけて収穫。1本の木で15キロから20キロほどの実が取れるという。1年1作のため、収穫を終えた木は、すき込んで堆肥として活用。米ぬかや鶏ふんを土に混ぜ、春まで熟成させる。青パパイアは生でも食べられるので、農薬は使わない。収穫するときは、実に指紋がつかないように手袋を着用する。「特別な技術は必要ないが、養分たっぷりの土なので雑草は多い。除草は手作業で小まめにする」と野見さん。オーナー制度では、現在県内外の28人が登録している。木のそばに登録者名が書かれた立て札を置き、実ができたら収穫を体験してもらう。青パパイアの生育の様子は写真共有サイト(インスタグラム)で定期的に発信している。「オーナー制度は、収穫時の労力軽減や、登録者が生育を見守りに通うことで人を呼び込むきっかけとなる」と笑顔を見せる野見さん。「青パパイアは育てやすく、北陸では珍しいため話題性もある。地域の農地を活用して、栽培本数を増やし、収穫量を安定させたい」と意気込む。
〈写真:実りを迎えたサンパパイヤ。「これからの季節、おでんに入れるのもおすすめです」と野見さん〉