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防風林「日本は「隠れ飢餓」のままでよいのか【2023年11月2週号】」

 ▼「自国で食料をつくる資源や技術を持ちながら輸入した方が得という経済力のある日本・韓国のような国は、途上国や貧困国に回るべき食料の一部を奪っているに等しい」と指摘するのは、愛知大学名誉教授の高橋五郎氏だ。新刊『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(朝日新書)で間近に迫る世界的な食料危機を警告し、早急な対応を訴える。
 ▼同書では、国連食糧農業機関(FAO)のデータを基に共通の考え方と算式で食料自給率を試算。日本のカロリー(供給熱量)ベース自給率は18%と低く、182カ国・地域で128位と報告する。また、気候変動や人口増加、戦争・紛争など、輸入による食料供給が止まるリスクは多く、経済力低下による買い負けも含め、日本は飢餓に陥りやすい「隠れ飢餓」状態と断じる。
 ▼次期通常国会で予定する食料・農業・農村基本法の改正で、食料安全保障の強化は重要な課題だ。ただ、値上げは続いても不足や飢餓を感じる状況になく、国民的な関心は低いよう。自給の必要性や輸入依存の問題をもっと発信しなければ。