【福井支局】福井市円山地区では、市街部と農村部の交流を図ろうと、県内では珍しいリゾット米を2016年から栽培。20年には、県農業試験場が新たに育成した調理用品種「越のリゾット」に切り替え、同地区の特産にしようと商品開発や販路拡大に力を入れている。越のリゾットは、食物繊維と似た機能を持つ難消化性でんぷんを多く含む高アミロース米で、消化吸収がゆっくりと進むため、血糖値が気になる人にお薦めだ。育苗から精米まで一貫して携わる河戸文雄さん(73)は「越のリゾットは、稈長が短いため倒伏しにくく、栽培しやすい品種」と評価する。22年には同地区の特産にしようと地域おこし協力隊を募集。農業法人で6次産業化の経験があり、地域プランナーの日芳佳奈子さんを迎え、商品開発などを始めた。「リゾットやパエリア用というだけではなく、家庭の炊飯器で気軽に調理でき、パラリと煮解けしにくい特徴を生かした新商品が必要だと考えた」と日芳さん。「あきさかり」をブレンドした「チャーハンブレンド」や「コシヒカリ」をブレンドした水っぽくならない「炊き込みブレンド」など3種類の商品を開発した。同市のふるさと納税の返礼品にもなっており、東京にある県のアンテナショップでも販売が始まっている。
〈写真:「スープをしっかり吸ってくれるので雑炊にもお薦め」と話す河戸さん〈左〉と日芳さん〉