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収入保険・私の選択  経営安定の支えとして必要【11月1週号 北海道】

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 【北海道支局】株式会社北海道サラダパプリカは、2021年に収入保険に加入した。同社代表取締役社長の田辺利信さん(65)は、釧路市大楽毛〈おたのしけ〉で害虫を昆虫に食べさせる「天敵昆虫」を利用し、農薬に頼りすぎない方法でパプリカ2.3ヘクタールを栽培する。田辺さんは「年間生産量600トンを維持し、さらなる売り上げを目指すためにいろいろなことを考えています」と意気込む。同社は、温度や湿度などの環境維持センサーや、日照時間が短いときのための高圧ナトリウムランプなど最新技術を導入し、16年に植物工場を建設。当時、パプリカは9割ほどが輸入品で、道内には生産者がほとんどいなかったことから栽培を始めた。「植物工場といえども天候に左右される農作物なので、従業員の雇用や経営を続けていく上で、経営の安定的な支えとなるセーフティーネットとして収入保険は必要だと思い、加入を決めました」。加入した年は、天候不順や新型コロナウイルスの影響で収入が著しく低下し、保険金を受け取った。「売り上げが落ちた分、どうやって賄うかを考えていたときに、年度末に収入減少分の補てんが支払われたことが経営の安定につながりました」。収入が減少したときの補てんで翌年の経営に対する備えができ、保険料が高いというイメージはないという。「現在の保険制度は実績を評価するため、軌道に乗り始めている新規就農者の経営基盤をつくる手助けができるよう、保険対象にするような制度や経営目標が達成できなかったときにもう少し強い後押しとなる制度を期待します」と田辺さん。「保険の上限設定は意欲を評価する形にして、本人の努力によらないものは特例措置を通じてあまり下げないなど、意欲的な人が頑張れる制度になれば、より加入者が増えると思います」と要望する。

〈写真:パプリカを手に「NOSAI職員の丁寧な説明が加入の後押しになりました」と田辺さん〉