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牛を守るため猟師になりました【11月1週号 岩手県】

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 【岩手支局】「子牛の元気な姿が一番の励みになる」と話す八幡平市安代の阿部奈穂子さん(47)。2006年に就農し、現在は繁殖和牛14頭を飼養するほか水稲を40アール作付ける。阿部さんは異業種から農業の道へ進んだ。「もともと動物が好き。衝動に駆られて、気付いたら牛を飼っていた」と笑顔を見せる。就農当初は、牛の体調の変化にいち早く気付くのが難しく、戸惑いばかりだった。JAなど農業関係団体の指導を受けて知識を日々深めたという。「今では畜産農家との交流が増えた。同業者の話はとても勉強になる」と阿部さん。「頭数を増やして経営を安定させたい」と話す。牛舎の近くにクマが出没するため「大事な牛を守りたい」と、19年に第一種銃猟免許、わな猟免許を取得した。同市の猟友会に所属し、猟師としても活動。現在はほかの猟師に同行し、狩猟方法や山の歩き方などの指導を受ける。「私が見逃してしまうような獲物を猟師の先輩方は瞬時に見つける。経験を積んで、洞察力など猟師としてのスキルを磨きたい」。今後も狩猟に取り組むことで、牛を守りながら地域に貢献したいと考えているという。「今年からニホンジカ猟を始める。さばき方を勉強してジビエ(野生鳥獣肉)料理に挑戦したい」と意気込む。

〈写真:「生き物を育てることは大変だが、楽しいので続けられる」と阿部さん〉