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食品ロス削減 野菜に付加価値【11月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】二戸市金田一の小林由広さん(56)は、自家産野菜を市場出荷するほか、自身が経営するカフェで規格外品を料理に利用。スイーツなどに加工して販路を増やし、出荷できず廃棄していた野菜を減らしている。今後は畑とカフェを活用して農業体験施設としての利用を目指す。小林さんは2006年から畑36アールでピーマンなど数十種類の野菜を栽培する。市場や産直施設以外の販売先を増やすため、10年ごろから規格外の野菜を自宅でペーストやスイーツに加工し、SNS(交流サイト)を利用して販売を始めた。「リンゴやサツマイモを使ったタルト、ケーキなどが特に好評で、多い年には年間300個ほど販売していた」。昨年11月、同市仁左平〈にさたい〉に所有する畑の敷地内にカフェ「パプリカヘヴンCafe」を開店した。自家産野菜を使う料理を提供するほか、加工品を販売する。「食品ロスを減らすために、その日に提供できる食材でメニューを考える」と小林さん。夏場に大量に収穫するトマトなどは、ソースに加工して冷凍保存し、パスタソースなどに通年で利用する。「ピーマンは甘さが特徴の『スイートロング』など4~5品種を作付け、料理によって使い分ける」。小林さんは「今後はカフェと畑を農業・料理体験ができる施設にして、お客さまが自分で収穫した野菜を料理して楽しむ場を提供したい」と意欲的だ。18年にはビニールハウス1棟(1.6アール)を導入し、トマトやメロンなどの栽培を始めた。妻面に換気窓を設置し、ハウス内が高温にならないようにしている。3年前、ハウスのビニールが強風で飛ばされた経験から園芸施設共済へ加入した。小林さんは「農業は天候に左右される。自分でできる対策を取り、農業共済加入で万一に備えていきたい」と話す。

〈写真:野菜の一部を販売するため、プチ産直「麦わら農園」の準備を進める小林さん〉