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収入保険・私の選択  拡大する経営規模を支える【11月3週号 山口県】

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 【山口支局】「私の両親が、この地でネギ栽培(露地42アール)を始めて31年になります。今ではハウス57棟(約5ヘクタール)になりました。規模が大きくなればなるほど経営リスクは大きくなっていると実感しています」と話すのは、山陽小野田市の有限会社グリーンハウス(従業員46人)代表取締役の松村正勝さん(54)。豪雨対策などの機器を設置するほか、農業保険に加入して自然災害に備えている。松村さんは「ここは干拓地のため、台風と水害に苦労してきました。2004年の台風で、海水が堤防を越えて圃場に入り、作物が全滅。2カ月間出荷できなかったことがありました」と話す。対策として、敷地内に5基の強制排水装置を設置。停電時にも装置が稼働するよう、発電機を設置して水位の上昇を防ぐ。「台風が来るたび、ハウスを守るか作物を守るかの2択に悩まされます」。一刻を争い、作物を守ることを優先した際は、2連棟のハウスが倒壊。かろうじて残存したほかのハウスは、パイプが曲がり傾いたことがあったという。「ハウスを守るために、一時的にビニールをはがしますが、その作業は大きな労力が伴います。みんなの力があるからこそできることです」。災害への対策を適宜講じているが、万全の備えは難しく、昨年9月の台風などでは強風でビニールが裂ける被害を受けた。「昨年、県の掛金補助をきっかけに園芸施設共済に加入しました。ビニールだけではなく、ハウス本体の補償や撤去費用も対象となるところが安心ですね」。同社は20年に収入保険に加入した。その翌年、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少。松村さんは「県内をはじめ東京、大阪、広島の市場に出荷していますが、単価が上がらず、人を動かせば動かすほど費用がかかります。ネギをすき込まざるを得なくなりました。収入保険には助けられましたよ」と振り返る。「農業経営を続けていく上で、ハウスを守り、作物も守れる農業保険は心強い支え」と話す。

〈写真:「土日祝日に災害が起きることも多い。復旧や対策を急ぐため、被害状況の対応などでNOSAI職員との連携が欠かせないですね」と話す松村さん(手前)と妻の孝子さん(53)〉