▼高齢化・過疎化が進む農村部の振興策の一つに、特定の地域と関わる関係人口や交流人口の創出がある。農林水産省は、財務省に提出した2024年度予算概算要求で農山漁村振興交付金として約117億円を計上し、その中に農泊の推進や棚田など中山間地域の農業振興支援などを盛り込んでいる。
▼25年度までの達成目標には交流人口1540万人、農泊地域での延べ宿泊者数700万人などを設定した。交流人口は、グリーンツーリズム施設への宿泊など農山漁村体験などを行った人数を集計したもの。18年度には1212万人の実績をあげたが、コロナ禍で半減した。旅行需要が回復する中で、地域資源の活用や情報発信などが課題となろう。
▼先般開かれた農村型地域運営組織(農村RMO)推進研究会では、地域で管理が困難になった傾斜地の樹園地にサクラやモミジなどを植え、催しで人を呼び込むとの報告があった。最近見たニュースでは、耕作者不在のクリ園を住民が管理し、労力のかかる収穫は地域外の家族連れなどをボランティアに招き、手伝ってもらうと紹介していた。
▼"関係人口や交流人口の創出を"と構えてしまえば何から手を付けるか腰が引けてしまうかも。できる範囲で活動し、できない部分は助けてもらうと肩の力を抜いた方が人も集まりやすいだろう。地域を訪れるきっかけは「サクラや紅葉を楽しみに」「クリ拾いをしたい」でよいのだ。