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需要高まるアジア野菜 35品目栽培【10月4週号 広島県】

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 【広島支局】福山市箕島町の「若井農園」(ホウレンソウなど130アール)の代表・若井克司さん(49)は、インドネシア出身のカーエル・ファーミさん(34)との協働で、アジア野菜を栽培・販売する「ワカイ・ファーミー」を立ち上げた。クウシンサイやトウガラシ、キャッサバなどを手がけ、SNS(交流サイト)や口コミで評判が広まっている。Uターンして10年以上農業に携わる若井さんは、農業で収益を上げることの厳しさを感じると同時に、利益を求めるだけではなく農業で世の中に貢献したいという思いを持っていた。2021年、農産物の販売を学びたいというファーミさんを若井農園で雇用することに。「故郷のロンボク島を農業で盛り上げたい」というファーミさんの熱意に共感し、アジア野菜の栽培を始めた。野菜の種類と量は出身地や家族構成で需要が異なるため、在日外国人に聞き取りをしながら多品種を試験的に植え、日本の四季に合わせた栽培方法を模索している。「インドネシアだけでも300の民族がある。出身地によって嗜好〈しこう〉も違う」とファーミさん。現在は十数品種のトウガラシなど35品目の野菜を約30アールで栽培する。若井さんは「ファーミと出会い、日本で暮らす東南アジアの人々がふるさとの新鮮野菜が手に入らないことを知った。『懐かしい』と喜ぶお客さんを見るとうれしい」と話す。野菜は農園併設の直売所や海外食材の販売店、SNS(交流サイト)で販売。情報が広まり県外からの客も多く、キロ単位での注文が珍しくないという。通訳としても2人をつなぐファーミさんの妻・先家茉子〈せんげ・まこ〉さん(29)は、SNS用動画を撮ったり、チラシを作ったりと活動を支える。茉子さんの提案で造った農園内のバーベキュー場は、留学生や実習生、近隣の日本人が集う国際交流の場にもなっているという。「一緒にやっているとワクワクする。人のためになっているかが大事で、楽しく農業をしたい」という若井さんと、「安全・安心な野菜を販売する直売所をロンボク島に造るのが夢」と話すファーミさんの挑戦は始まったばかりだ。

〈写真:ワカイ・ファーミーの野菜。右下から時計回りでキャッサバ、タイナス、キャッサバの葉、トウガラシ2箱、ササゲマメ〉