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基幹作業を若手が担い 地域の農家が管理・収穫【10月4週号 和歌山県】

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 【和歌山支局】「定植までの作業を私たちが担うことで、農業に参加する人が増え地域に活気が出れば」と話すのは、日高町の若手農業者団体「アッセンブル日高」代表の白井雄太〈しらい・ゆうた〉さん(39)。同団体はメンバー7人で、JA紀州や町と協力し、「アグリモデル」事業という新たな分業体制を構築しようとしている。アグリモデル事業は、地域の優良農地を集積し、耕うん・施肥・畝立て・定植までの基幹作業を担う。その先の栽培管理・収穫は、募集などで集まった地域の農家が作業。「農地」と「労働力」を確保し生産の仕組みをつくる事業だ。集積した農地で農業用機械を使うことで基幹作業の効率化を図り、同団体メンバーは労務費として農閑期に安定した収入を確保。参画した農家は担当する圃場の売り上げから基幹作業の労務費と肥料や農薬などの経費を引いた分が収入となる。基幹作業を同団体が代行することで、設備投資を省き、コストを抑えた農業に携わることができる。同町の農業委員と農業士会会長を務める白井さんは、新規就農者や高齢農家から「農業をやりたいが、初期投資や機械の更新コストが高い」という相談を多く受ける中で、この仕組みを考案した。県や町の補助金を活用する予定で、来年は法人化を計画している。今年は事業のテストとしてトレビスを約60アール栽培。トレビスはイタリア料理に欠かせない食材だが、輸入が多いため国内生産すれば収益性が高い。参画する農家の所得確保のためにも、収益性が高く、栽培の容易な作物を模索している。白井さんは「この取り組みで農業に参加するハードルが下がる。会社員や主婦といった人たちにも副業として、個人でもグループでも参加できる体制にしていきたい」と意気込む。

〈写真:トレビスを定植するメンバーの西政俊さんと溝口敏幸さん〉