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耕作放棄地を有効活用 オリーブで地域おこし【9月3週号 福井県】

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 【福井支局】「越前町で育てたオリーブで、チュニジアで味わった感動の味を再現したい」と話すのは、越前町の地域おこし協力隊の吉田文武さん(26)。2022年11月に同町へ移住し、地域おこし協力隊として地域の人と協力しながら、耕作放棄地などを有効活用したオリーブの生産に取り組んでいる。越前市出身の吉田さんは、大学進学とともに県外へ行き、そのまま一般企業のサラリーマンとして3年間働いていた。大学在学中に休学し、チュニジアで青年海外協力隊として水泳指導の活動をしていたことがあり、自然と関わる仕事がしたいと感じていたとき、越前町でオリーブの生産に携わる地域おこし協力隊の募集を見つけた。「その募集を見つけたときに、チュニジアで味わった新鮮なオリーブオイルのおいしさに感動した感覚が思い出され、すぐに応募した」。同町茂原地区でオリーブを栽培する地域おこしグループ「TEAM越前夢おこし」の南和孝さんらのサポートを受けながら栽培方法を学んだ。現在は同地区の耕作放棄地など1.7ヘクタールでオリーブ600本を管理する。TEAM越前夢おこしでは、オリーブの植樹を21年に始め、同地区の城崎小学校周辺でオーナー制度を取り入れた生産に取り組む。現在は70人以上のオーナーの協力のもと、74本を管理し、吉田さんはその活動を手伝う。吉田さんが主体となり、オリーブの葉で作るパウダーを利用した商品を開発。地元の菓子店や企業と連携した商品開発にも取り組んでいる。今年9月には、地元の企業と連携してパウダー入りの生どら焼きとカステラを県内のイベントで販売した。「自分一人では今の活動はできなかった。地域の人の協力や南さんのサポートがあったから、ここまで増やすことができた」と吉田さん。「管理は大変だが、地域の農地を守りながら、自分の理想とするオリーブオイルや加工品などの開発を目指し、オリーブが地域の特産となってくれればうれしい」と話してくれた。

〈写真:「ゆくゆくはオーナーが剪定〈せんてい〉した葉などを使った商品を提供してきたい」と話す南さん(右)と吉田さん〉