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ICT活用、時短勤務導入 子育て中の社員が働きやすい環境へ【9月1週号 島根県】

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 【島根支局】益田市にある合同会社農夢〈のうむ〉では、ICT(情報通信技術)を活用し、大型ハウス2棟(24アール)でトマト栽培に取り組む。安定した生産を目指すとともに、作業量を減らすことで、幼児から中学生までの子供がいる子育て中の女性社員4人が働きやすい環境で栽培に力を注いでいる。同社がICTを導入したのは2013年。大型ハウス内の水やりや肥料管理、保温カーテン開閉による温度管理など、湿度以外の管理を自動化した。農場長の中島明日香さん(40)は「農作業に常に人手をかける必要をなくし、休日(土・日・祝日)や有給休暇の取得につなげています」と話す。栽培に携わるのは農業経験がなかった20~40代の子供を持つ女性社員。技術指導を受けたり、職場環境を整えたりすることで長期雇用につながっている。社員の沢江さんは「子育てで大変な中だけど、野菜が好きで就業しました。雰囲気が良く働きやすい環境で助かっています」と話す。子育て中の社員は、子供が家にいる期間や急病などの対応が必要だが、ハウスの自動管理と社員同士の助け合いで有給休暇は取得しやすい。子供の夏休み中はトマト栽培の準備期になるため、半日勤務の導入などで対応している。作業は、7月に定植、8月に授粉作業をした後、9月から翌年6月まで収穫。給水・肥料・遮光・保温カーテン開閉などを自動化したことで、主要作業の芽かきや誘引、収穫などを中断することなく作業ができ、社員の負担は減った。現在の平均収穫量は20トンで目標の25トンに達成していないものの、収量は年々増加している。一方、地域的に日照不足になりやすいため、赤みがつきにくく割れやすいという課題があり、廃棄されるトマトの加工品への活用を検討中だ。代表社員の田原裕司さん(68)は「ICTの導入で人手不足の解消につながり、育児世代の女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。これからも環境整備に力を入れていきたいですね」と話す。

〈写真:仲良く楽しんで農業に取り組む社員。左から長﨑さん、沢江さん、中島さん、西浦さん〉