【山形支局】「けがをしたときは、痛みと農作業ができなくなる心配で頭の中が真っ白になりました」と話すのは、長井市下伊佐沢の増田和則〈ますだ・かずのり〉さん(60)。水稲580アール、スイカ20アール、洋ナシ20アールを栽培している。2022年4月、ナシの剪定〈せんてい〉作業中に脚立から落ち肋骨〈ろっこつ〉を骨折。入院や療養のため、春先の農作業ができなかった。田植えやスイカの定植が遅れ、収量が減り品質は低下。8月の集中豪雨で水田が冠水、米価の低迷が追い打ちをかけ、販売収入は平年の7割を下回った。「収入保険に加入していて良かったと、つくづく思う。本当にありがたい」と増田さん。収入保険に加入する前は「内容の説明は受けたことがなかったが、保険料と積立金が高い感じがして、自分の経営には合わない」と考えていたという。そんなときNOSAI職員から「話だけでも聞いて試算をさせてください」と説明を受けた。さまざまなリスクに対応できるほか、保険料の50%、積立金は75%を国が負担し、無事故で保険料が安くなること、大きな損害では無利子のつなぎ融資が受けられることなどを知った。「農家に寄り添った保険だということが分かり、加入してもいいかなと思った。推進に来た職員の熱意も伝わった」と笑顔で話す。収入保険には保険料の安い下限設定タイプがあることも背中を押した。「経営に合った設定を選ぶことができ、保険料を抑えられるので加入しやすい」と、ニーズに沿ったプランがあることも加入を決断する要因になった。これまで増田さんは、スイカの収穫が終わると稲刈りやナシの収穫と、複数の作物を栽培することで経営の安定につなげてきた。今後はこれまでの営農スタイルに収入保険を加え、リスクに備えた農業経営に取り組んでいく。
〈写真:「収入保険に加入していれば、新たな作物に挑戦もできる」と増田さん〉