【山口支局】「富海〈とのみ〉の藍を使い、6次産業化したかった」と話すのは防府市富海の宇多村史朗〈うたむら・しろう〉さん(72)。藍を活用したさまざまな取り組みを進めている。「2011年に山口国民体育大会で優勝した地元の高校バレーボール部の選手に、富海在住の藍染め作家が藍染めのハンカチをプレゼントしたのがきっかけです。藍の魅力を再認識し、『富海を藍染めの里にしよう』と話が持ち上がりました」と宇多村さん。藍の栽培技術を持つ地域おこし協力隊員が主となり、13年に富海で栽培が始まった。20年に藍の栽培事業を実施し、宇多村さんは地元の藍を使用した染め物体験のほか、化粧品やせっけんなどの製品を企画している。「子どもさんへの贈り物に良かったと聞きます。昔は子どものおむつに使用されるなど、藍は体を守るものとして、生活の中で使われていたそうですからね。コロナ禍では、抗菌作用もあるとして、藍染め製品が注目されていました」。宇多村さんは「地元の公民館で藍染め体験などの開催も検討していきたい」と地域の活性化に思いを巡らせる。
〈写真:「せっけんは香りが良く、藍の色がアクセントになっています」と話す史朗さん(右)と妻の洋子さん(73)〉