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国産飼料用トウモロコシ 高度利用化センター建設へ【8月1週号 山口県】

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 【山口支局】「飼料用トウモロコシで、農業の地域循環をはじめ、飼料や畜産に県内産の付加価値を付けたい」と話すのは、宇部市の農業生産法人株式会社あぐりんく取締役の工藤正直〈くどう・まさなお〉さん(51)。宇部市と山口市の圃場で飼料用トウモロコシを栽培する。「作業時間は稲作の10分の1。残りの時間をほかの作物の作業に活用できます。4月の春播きと7月の夏播きが可能で、水稲、麦、大豆との輪作にも適しています」と栽培のメリットを話す。「専用機械は大きくて高額のため、国の助成事業を活用して山口市子実コーン地域内循環型生産・出荷協議会員で共同利用しています。しかし、現状の栽培規模では、収穫後の乾燥や粉砕加工までを自社で完結できません。生産者が生産管理に集中できるように、この課題を解決したかった。一般社団法人農林水産業みらい基金の助成を受け、協議会員が生産する子実トウモロコシを乾燥、粉砕、配合までできる施設「やまぐち国産飼料用とうもろこし高度利用化センター(仮称)」を2023年11月に同社に建設することが決定している。同センターには専門技術指導員を置き、飼料の成分やカビ毒を分析するという。「国産原料を使うこれまでにない取り組みなので、安全性の確保はもとより、地域産の良さを生かす飼料で新しい価値をつくりたいです」と工藤さん。「肉用牛はセンターの飼料で約2年かけて育てます。県産の飼料で育つ牛の成長を見るのが今から楽しみです」と笑顔を見せる。

〈写真:「今年の子実トウモロコシの生産目標は200トン。共に飼料用トウモロコシを作る生産者を増やしていきたい」と工藤さん〉