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米農家が米粉100%ベーグル店 自信の「能登ひかり」に付加価値【8月3週号 石川県】

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 【石川支局】「世界農業遺産に認定されたこの地の米のおいしさを多くの人に伝えたい」と話すのは、輪島市町野町金蔵地区の棚田で水稲10ヘクタール、ミニトマト2.8アールを栽培する山下祐介〈やました・ゆうすけ〉さん(37)。今年6月、妻の桂子〈けいこ〉さん(44)とともに自家産・自家製粉の米粉100%で作るベーグル店「こめとわとベーグル」をオープンさせた。店内には9種類ほどが並ぶ。グルテンフリーで、もちもちとした食感のベーグルの評判は口コミで広まり、地元客はもちろん遠方から訪れる客も多い。現在は「コシヒカリ」や県のブランド米「能登ひかり」など4品種を作付けている。「近年、米の需要が減っている。米に付加価値を付け、おいしさをもっと多くの人に伝えたい」と話す山下さん夫妻。老若男女が手軽に楽しめる米粉100%のベーグルの販売を思いついたという。商品開発は桂子さんが中心となり2021年にスタート。基礎を学ぶため、米粉のパン教室に通うところから始めた。米粉100%のベーグルは思い通りの食感に作り上げることが難しく、配合や発酵時間などに試行錯誤を重ねた。原料となる米は能登ひかりを採用。約2年かけてオリジナルレシピを完成させた。プレーンをはじめ、おかず系のカレーやあおさチーズ、おやつ系のチョコや抹茶ホワイトチョコ、アールグレイなど多種多様にそろえた。イートインが可能で、限定メニューの日替わりベーグルサンドとスープのセットを提供する。農業青年グループに所属する祐介さんは「今後はグループの農家が生産する農産物を生かしたベーグルを作りたい。米農家のベーグル店というだけではなく、奥能登の農産物を発信する場所となりたい」と将来を見据える。

〈写真:ベーグルを手に祐介さん(左)と桂子さん。「お米を活用して、新しい商品開発にチャレンジしたい」と笑顔で話す〉