▼財務省の財政制度等審議会は先ごろ、「歴史的転機における財政」と題した建議をまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。地球環境問題や安全保障環境、格差の固定化・拡大など歴史的な転機となり得る場面にある中で財政の健全化が急務と訴えている。
▼農業関係の施策では、食料の安定供給に資する農地の集積・集約化をさらに進め、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金による支援継続も明記した。ただし、営農が必要な農地との条件付きで、営農継続が難しい農地は放牧や植林など粗放的に低コストで管理する総合対策の活用を促すとした。
▼気になるのは多面的機能の評価だ。農林水産省が試算した年間1兆7千億円の政策効果の大半が「保健休養・やすらぎ」で、239億~358億円とされた「洪水や土砂災害の防止」効果は本年度の予算額(487億円)を下回ると指摘した。
▼水田活用交付金は、同審議会の建議などを受け「5年に1度の水張り」と要件が厳格化された。やすらぎを生む予算こそ大事にすべきだろう。