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低コスト・循環型農業を実践 田舎ツーリズムの提供も【6月4週号 島根県】

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 【島根支局】「奥出雲町は人が良い、水も良いから米がうまい」と話すのは、奥出雲町で水稲などを栽培する白山洋光〈しらやま・ひろみつ〉さん(51)、里香〈りか〉さん(50)夫妻。「しまね田舎ツーリズム」の実践者として、田んぼ体験のほか、築約300年の古民家では囲炉裏〈いろり〉サロン「田樂荘〈だらくそう〉」で農泊などを提供し、県内外をはじめ海外からも多くの人が訪れている。白山さんは2012年に奥出雲町に移住した。現在は水稲50アール、マコモ20アール、キクイモ、ニンニクなどを栽培。林に囲まれた山間の圃場では、伊勢神宮の御神米とされる水稲「イセヒカリ」を栽培し、陰になる水田の水口には「神が宿る草」とされているマコモを植えている。「マコモは土と水の浄化作用があり、枯草菌の働きで雑草が生えにくくなる。イセヒカリは肥料を好まず、倒伏しにくい強い品種です。自然の力を借りる工夫をして、無駄を極力省く低コスト農業、次世代のための環境に配慮した循環型農業に取り組んでいます」と白山さん。田舎暮らし体験プログラムについては「外国の方も多く、囲炉裏はとても喜ばれます。ゆったり語らう中で、地元の方々に教わった奥出雲暮らしの醍醐味〈だいごみ〉についてお伝えしています。わが家のイセヒカリなどの農産物は食材として提供しています」と笑顔で話す。奥出雲の自然や人に囲まれ、昔ながらの生活や生き方を、体験という形で共有する場を提供。冬季は、マコモの葉を使ったマコモ茶作り、コースターなどの製作、みそやどぶろく造りにも取り組む。「マコモは約200キロの販売分と同じくらいの量を近所の方に食べていただいています。現在の圃場を大切に守っていくために、規模の拡大については慎重にしたいと考えています」と白山さん。今後は「研修生を受け入れ、奥出雲での低コスト・循環型農業の実践例として私たちの経験を伝え、当地での暮らしを楽しんでもらう契機としてもらえたらうれしい」と期待する。

〈写真:「田舎暮らし体験を提供します」と白山さん夫妻〉