▼2022年度食料・農業・農村白書は、序文で生産者の減少と高齢化に加え、世界的な食料情勢の変化や気候変動などにより、わが国の農業・農村は「大きなターニングポイントを迎えている」と強調。特集でも「将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えている」と記述する。
▼その特集では、世界的な人口増加や温暖化に伴う農産物の生産可能地域の変化など食料安全保障上の主要なリスクを解説。過度に輸入に依存する麦・大豆などの生産拡大や未利用資源の活用、適切な価格形成を実現するフードシステムの構築など政府による農政見直しの概要と必要性を説明する。
▼白書の特集は「消費者の理解を得ることも重要」とひと言で結ぶが、適正な価格形成など農政見直しの実現は国民合意が大前提だ。平時からの食品アクセス確保など格差問題への対応も求められる中、安さより適正価格を選んでもらう難易度は相当高い。
▼ただ、食料・農業・農村政策の見直しに"次"はない。政府にはその覚悟で改革と国民合意の形成に臨んでほしい。