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西洋ナシ 早期成園化・省力の樹形【4月4週号 新潟県】

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 【新潟支局】果樹の早期成園化とスマート農業に対応できる技術として、新潟県は2021年度に西洋ナシのジョイントV字トレリス樹形栽培(以下:JV樹形)を発表。今後の生産基盤の強化に期待がかかる。新潟県農業総合研究所園芸研究センター育種栽培科の大村宏和専門研究員は「JV樹形は、地上高80センチ程度でジョイントして、そこから枝を斜立させて上方に誘引し、V字形の樹冠を作る」と話す。植栽4年目から収穫量が増加し、6年目には「ル レクチエ」で10アール当たり3トンと成園並みの収穫量となり、早期成園化が可能だ。側枝を平行に配置するので動線が直線的になり、慣行栽培と比較すると年間作業時間で2割短縮。側枝の高さが80~200センチと目の前の作業が増えるため、棚栽培より上向きで肘や肩より高い位置の作業が減り、体への負担が軽減される。園地造成の際、単管を組んだ施設の施工は必要だが慣行栽培と異なり栽培棚は不要で費用負担が少ない。さらに、ジョイント栽培と同様に直線状に植栽するので、スピードスプレヤーの通路が容易に確保できるため、防除効率は高い。自動収穫機に対応した樹形で見通しは明るいが、積雪への対応など解決すべき課題は残る。「慣行栽培より災害耐性が低く、特に大雪に弱い。主枝を地上高80センチに配置するので、多雪地域で樹体の倒壊が懸念される」と大村専門研究員。樹体の倒壊のほか、V字部分に積雪があると果実の成り枝が折損することもある。枝は上向きで固定部分は誘引線との留め具だけのため、留め具の更新をしないと強風に弱いという。近年、大型台風や大雪などの災害が頻発する中で、新規導入する際は長所と短所をよく考慮する必要があるとしている。