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樹体管理、加工品開発に注力 丹波栗を守る〝木育て〟【4月3週号 兵庫県】

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 【兵庫支局】丹波市の山本浩子〈やまもと・ひろこ〉さん(59)は、「丹波栗〈たんばぐり〉」のブランドを守るため樹体の管理に力を注いでいる。冬の剪定〈せんてい〉の時期には、最適な樹形を目指して、一本ずつ丁寧に、愛情を持って取り組む。山本さんの「ヒロちゃん栗園」は約1ヘクタール。「クリの木は毎年大きくなり子どもの成長と同じ。育てることは愛情を込めた『木育〈こそだ〉て』」と話す。クリ栽培はもともと義父が手がけていたが、高齢のため、管理しきれなくなったという。山本さんは12年ほど前、収穫・出荷を試した。「複雑な作業がなくても秋になると収穫でき、手頃で収量も多く、楽しい」と感じていた。しかし、3年ほどで収量が減り始め、枯れる木が出てきた。原因を知りたいと考え、JA丹波ひかみの講習に参加したところ、クリ栽培の先輩農家と出会い、害虫対策などの管理不足が不作につながっていることを知った。「管理を始めたころは、手を入れていない期間が長かった影響で害虫駆除に時間がかかった。今はイガを園地に残さないなどの害虫対策をしているので、1本当たりの防除作業は早く済む」。丹波農業改良普及センターの認定制度「丹波栗剪定士」取得に挑戦し、2016年に認定を受けた。剪定は、葉がすべて落ちる1月から3月の暖かくなるまで。樹齢を延ばすためにも病気や虫、傷の入念なチェックは欠かせない。山本さんは「ヒロちゃん栗園DE八百屋さん」を経営する。栽培した丹波栗をはじめクリのフィナンシェなどの加工品、地域の野菜を販売。クリは収穫後1週間から40日間追熟させる。0~2度で貯蔵すると、より甘みが増すという。「リピーターの方も多く、予約の電話の際に『去年も買いました』と言ってもらえるのがうれしい」と山本さん。「栽培面積と加工品の種類を増やすことが目標。これからも丹波栗のブランドを守っていきたい」と意欲的に話す。

〈写真:「放置されているクリ林を市内で見かける。誰も管理しないのであれば自分が守りたい」と山本さん〉