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消費拡大へ米粉パン 自家産コシヒカリで行列ができる直営店【4月3週号 福井県】

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 【福井支局】「お米のおいしさをより多くの人に知ってもらいたい」と話すのは、若狭町熊川で「米パン工房coneru(コネル)」を営む藤本和美〈ふじもと・かずみ〉さん(53)。夫の武士〈たけし〉さんが作る「コシヒカリ」を使った米粉パンの製造・販売を2010年から始め、米の消費拡大に尽力している。埼玉県出身の藤本さんは武士さんと結婚後、若狭町で農業に携わるようになった。ところが、倉庫に積まれた米袋の減り方が年々鈍くなり、米の消費が減ってきていることを実感。どうにかして米をもっと食べてもらえるようにならないかと考えていた。そんな中で、米粉を使ったパンの存在を知り、自家産のコシヒカリを使用した米粉パン作りを開始し、米粉の配合割合などを2年間にわたり独自に研究。米粉特有のもっちり感とパンのふんわり感のどちらも備えたパンの開発に成功した。米粉パンは、藤本さんが経営する藤本農園で販売を始め、地元の保育園などで利用してもらったことがきっかけとなり、口コミで人気商品となっていった。今年1月、業務拡大に伴い、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されている熊川宿に米パン専門店を開業した。作り置きをしないので、開店する土日祝日には早朝から仕込みを始め、家族の協力を得ながら営業している。常時13種類ほどの米粉パンが並び、オープン前から買い求める客の列ができるほどの人気店となった。天気のいい日には、1時間しないうちに完売となる。一番人気の塩パンは、米粉パンとは思えないほどふんわりとしていて、かむほどに米粉パン特有のもっちり感と米のほのかな甘みが広がる。「これからも安全・安心でおいしい米粉パンを提供し、この店や商品をきっかけに米の消費拡大につながっていけたらうれしい」と藤本さん。「地場産食材を食べるなど、地産地消を通して地元農業者を応援してほしい」と話してくれた。

〈写真:開店前から客が列をなす米パン工房coneru〉