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水稲乾田直播+先進技術=大きな成果【4月3週号 北海道】

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 【北海道支局】株式会社辻村農場(代表取締役・辻村靖さん=56歳)は、辻村さんの曽祖父が1901年に妹背牛町で営農を開始。辻村さんで4代目となる122年続く農場だ。同社は2021年に法人化。妹背牛町8区で水稲9ヘクタール、秋播き小麦13ヘクタール、黒大豆を11ヘクタール作付ける。特に、水稲は15年からすべて乾田直播栽培に取り組み、成果を上げている。辻村さんは1985年に北海道農業試験場(現農研機構北海道農業研究センター)に入職し4年間勤務の後、実家の農業を継承。就農当初は、両親の栽培方法を踏襲していたが、2011年にJA北いぶき主催の講演会で省力的な乾田直播技術の説明を受けて興味が湧き、先進地の農場を視察した。12年には0.5ヘクタールで乾田直播の試験栽培を開始。普及指導員や先進地の農業者の指導を受けながら農作業工程を見直し、苗立ちや水管理、雑草対策の課題に取り組んだ。乾田直播栽培では、自動制御のレーザーレベラーでの均平作業に多くの時間を要していたが、GPS(衛星利用測位システム)ガイダンスと自動操舵(そうだ)システムの導入で農地の均平が維持され、整地にかかる作業時間の短縮に成功した。辻村さんは「乾田直播は、作業の大半を1人でできるようになり、春の農繁期は雨天を除くと実働2週間程度で終了できます。農機具導入のための初期投資はかかりましたが、耐久性のある畑作作業機がメインとなるため、長期的にはメンテナンス費用が減り、農機具費を削減することができました」と話す。20年の水稲10アール当たり作業時間は2.5時間で、北海道平均15.5時間と比較し16%と大幅な省力化を実現した。品種は低温苗立ち性や耐病性に優れた「えみまる」に切り替えたため、10アール当たり収量570キロを確保。収穫・調製作業を効率化できたという。辻村さんは「今後は規模拡大を進め、基幹労働力1人で60ヘクタールまで営農が可能な作業体系を確立したい。また、新たにドローン(小型無人機)を使用した農薬散布を導入し、さらに農作業の効率を上げたい」と意気込む。

〈写真:ユーチューブ(チャンネル名「乾田直播やろうぜ!」)で実際の作業を公開している辻村さん〉