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転換作物にジネンジョ 水はけ重視で良品出荷【4月2週号 岩手県】

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 【岩手支局】平泉町長島の丸山訓〈さとし〉さん(80)は、「平泉自然薯〈じねんじょ〉の会」の設立に関わり、2003年にジネンジョ栽培を始めた。同会の栽培技術担当として会員の畑に出向き、「いつでもジネンジョが食べられるまちを目指す」と意気込む。国による米の生産調整が実施されてから、丸山さんは知人とともに転換作物を探していた。「栄養価が高く、水稲栽培の合間に作業できるジネンジョを知り、栽培を決めた」と話す。天然のジネンジョは、収穫できる1メートルほどの大きさになるまで5~10年かかるが、種芋から栽培することで1年ごとに栽培・収穫できる。4月に種芋を作り、6月に仮植、11月下旬から収穫。同町周辺では5月に田植え、10月ごろに稲刈りをするため、作業時期が重ならず栽培できるという。同会の設立当初から栽培技術担当で、会員の畑に出向いて指導する丸山さん。「雨水などがジネンジョの周りにたまると腐るため、水はけに最も気を付ける」と話す。「畝の真ん中に溝を掘り、半円筒状にしたあぜ道シートに山砂を敷く。その上に発芽させた種芋を15度以上の傾斜をつけて仮植する」。傾斜で水はけが良くなり、あぜ道シートに沿って育つため、真っすぐなジネンジョができるという。会員10人で年間800キロのジネンジョを生産する。すりおろしたものは同町の中尊寺敷地内の食堂で提供されるほか、生の芋は一関市の製麺会社へ卸す。ジネンジョを練り込んだそばやうどんは、同町内の道の駅や一関市内の産直施設で販売されるという。丸山さんは「新型コロナウイルスの影響で減っていた出荷量が、昨年度から元に戻りつつある。平泉町の特産品として知られるようになり、地元の方や観光客がジネンジョをいつでも食べられるまちを目指したい」と先を見据える。

〈写真:丸山さんは10アールの畑で約1200本のジネンジョを栽培する〉