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ドローン防除でふるさとを守る【4月2週号 和歌山県】

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 【和歌山支局】みなべ町の農家で構成する「梅侍防除組合(構成員6人)」は、ドローン(小型無人機)を使用した水田農薬散布作業を請け負い、地域の農家を支援。「ドローン防除で、ふるさとを守る」をスローガンに、地域農業の課題解決に取り組んでいる。同組合は、野菜栽培に関する研究や環境保全農業の推進、梅干しのPR活動に取り組む「みなべ町野菜研究会」が前身。髙田行洋〈たかだ・ゆきひろ〉代表(59)は「野菜研究会での活動を通して、高齢化による担い手や労働力不足、耕作放棄地の増加など、農業が抱える問題に直面した」と話す。これらの問題に歯止めをかけるため、高齢者が多い中で、少しでも作業の省力化につなげることができればとドローンによる防除に目をつけた。しかし、中山間地の同町は条件的に不利で、引き受ける業者が見つからなかったため、「それなら自分たちでやろう」と一念発起。構成員全員で資金を出し合い、農業用ドローンを購入し防除組合を結成した。代表を含めた3人がドローンのオペレーターライセンスを取得し、オペレーターとナビゲーターの2人一組で作業に当たる。活動1年目の2021年は14軒の農家から依頼を受け、延べ451アールの圃場に散布。翌22年の実施面積はおよそ2倍となった。今後も依頼が増えることが見込まれ、事務局の中本憲明〈なかもと・のりあき〉さん(53)は「ドローンが1台しかないため、万が一の故障などで依頼者に迷惑がかからないよう、増台を予定している」と話す。現在、防除を請け負うのは同町の農家が作付けしている水田だけだが、将来はエリアを拡大し、果樹の防除も手がけることを目標にしている。髙田代表は「ドローン防除を継続して、ふるさとの農業を守りたい」と展望を話す。

〈写真:オペレーターとナビゲーターの2人一組で防除〉