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ポップコーン用トウモロコシ 農閑期に安定雇用【4月2週号 北海道】

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 【北海道支局】前田農産食品株式会社は、本別町で小麦134.5ヘクタール、テンサイ24.4ヘクタール、ポップコーン用爆裂種トウモロコシ8.6ヘクタールを作付けるほか、自社産の原料を使い「北海道十勝ポップコーン」の製造・販売に取り組む。ポップコーンは電子レンジで加熱すると出来上がり、手軽に食べられると人気を呼んでいる。同社代表取締役の前田茂雄さん(48)は、東京農業大学を卒業後、アイオワ州立大学に留学し、米国の大規模農業経営や流通を学んだ。2000年に実家の前田農産食品合資会社(当時)に入社し、09年に小麦粉の販売を開始。道産小麦をPRする必要性を感じ、道産小麦の販路拡大やブランド化の推進などを目的とした北海道小麦キャンプの実行委員としてPRに努めた。前田さんは従業員の冬場の雇用確保のため、6次産業化を決意。輪作体系に新たな作物を導入し、13年には国内では珍しいポップコーン用爆裂種トウモロコシの栽培を始めた。自社工場でポップコーンの製造に取り組み、農閑期の安定した雇用の創出を実現した。22年には、新設した工場「北海道十勝ポップコーンファクトリー」が稼働。従来の2倍の生産能力を見込んでいる。定番のうま塩味のほか、23年4月からは新しくキャラメル味の生産を予定している。前田さんは農業者と消費者の連携や地域づくりの継続的な取り組みが評価され、第52回日本農業賞「食の架け橋の部」で奨励賞を受賞した。「地域を取り込んで商品開発をしたことが評価された。社員や地域の方々のおかげで受賞できたと思っている。感謝申しあげたい」と話す。将来は北米を中心に輸出したいという前田さんは、人材育成にも力を入れている。農業や産業に貢献する人材の養成を目的に、ナフィールド国際農業奨学金の日本支部を19年に設立。地域農業の課題解決の一助となる人材育成と情報交換の場を提供している。前田さんは「第5期のスカラー(奨学生)農業者は7月から募集する予定です。日本支部のホームページをご覧いただき、ぜひチャレンジしてほしい」と話す。

〈写真:人気商品の「北海道十勝ポップコーンうま塩味」〉