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和牛繁殖 経営拡充に挑戦【3月4週号 島根県】

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 【島根支局】「農業は奥が深くて面白いです。失敗することもありますが、いい先輩に囲まれているから大丈夫。毎日が楽しいですよ」と話すのは、大田市温泉津町井田地区で繁殖和牛13頭を飼養する吉田淳一さん(35)。農機具小売店で整備士として勤めていたが、農家と話をする中で、自ら農業を営み、地元を盛り上げたいという思いが強くなり、2016年に就農した。就農後は家畜人工授精師の資格を取得し、将来は18頭まで増やすとともに1年に12頭以上の出荷を目指す。吉田さんは耕畜連携にも取り組む。稲刈り後のわらはロールにして保管し、飼料用稲(2.6ヘクタール)やイタリアンライグラス(1.5ヘクタール)を栽培。水田の耕作放棄地を活用し、荒廃地の減少に一役買っている。「自宅と牛舎が離れているので、朝夕の餌やり時の観察は時間をかけています。牛舎に繁殖管理用カメラを設置し、スマートフォンでいつでも確認できるようにしたところ、分娩〈ぶんべん〉時の事故が格段に減りました」と吉田さん。牛の異常を早めに発見することが事故防止にもつながった。吉田さんが中心的メンバーとして活動する温泉津町和牛改良組合の森徳行組合長は「吉田君はとても真面目に頑張って、いい牛を育てています。ゆくゆくは和牛改良組合の代表として、これまでの歴史を背負って立つ人だと思っています」と期待する。和牛繁殖の傍ら、アスパラガスを28アールで栽培。高い収穫量が期待でき、収益性の高い半促成栽培に取り組む。昨年から出荷できるようになり、今後は露地栽培に挑戦したいと意欲的だ。石見銀山アスパラガス生産組合の岩崎勝男組合長は「今年は出荷量が増えることを期待しています。若い方に頑張ってもらい、組合を盛り上げてほしいですね」と話す。今年結婚し公私ともに充実しているという吉田さんは「収入保険や園芸施設共済、農機具共済に加入しているので、安心して農業に取り組めています。育ってきた温泉津を盛り上げていけるように、前向きな仲間と頑張っていきたいです」と話す。

〈写真:「吉田君は人一倍働いて気遣いもできますし、頻繁に相談に来てくれます」と話す森組合長(左)と吉田さん〉