【秋田支局】リンゴ60アールや水稲85アール、オウトウ60アールを栽培する湯沢市上関の丹一博さん(65)は、収穫したリンゴを雪中貯蔵し、甘くおいしい果実に仕上げている。リンゴを約40個入れた出荷用コンテナを2段に重ね、木ぶたをして、全体をブルーシートで覆う。その後、除雪機で雪をかけて貯蔵。今冬は12月14日から40箱を貯蔵した。零下10度の寒気でも雪中内は0.5度に保たれ、リンゴが凍ることはない。密閉空間では、鮮度を落とす原因となるエチレンガスの発生を抑制できる。酸味がなくなって甘みが際立ち、水分が抜けないため、収穫直後のように新鮮でシャキシャキとした食感を味わえる。品種は主に「ふじ」のほか、「はるか」も7箱貯蔵。丹さんは「品種によって香りや甘みの変化を楽しめるのも雪中貯蔵の魅力」と話す。豪雪地域では厄介な雪を利用しようと、10年前に雪中貯蔵を始めた。「珍しい手法ではなく手間がかかるが、毎年楽しみにしてくれるお客さんがいて、自分も楽しみながら取り組めている」と丹さんはほほ笑む。
〈写真:「冷蔵より長くリンゴを楽しめる」と丹さん〉