ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

自力で除染 原木シイタケ 規模拡大、増産に意欲【3月1週号 岩手県】

230309_8.jpg

 【岩手支局】一関市大東町の青柳〈あおやぎ〉博昭さん(63)は、同市内の自動車整備会社で働く傍ら原木シイタケを栽培する。「50歳のとき、定年後に何を仕事にするかを考えた」と青柳さん。市内で原木シイタケを栽培する友人の助言を受け、栽培を決意したという。2010年に山林を含む396アールの土地を購入し、露地10アールでホダ木2千本の栽培を始めた。しかし、11年の福島第一原発事故で放射性物質が拡散し、ホダ木や山林、栽培のために設置したビニールハウスが汚染され、生産・出荷ができなくなった。青柳さんは「周囲の人に『もうシイタケの栽培は難しいのでは』と言われたが、乗り越えてやろうと思った」と話す。栽培再開を目指し、パワーショベルで山林やハウス周辺の表土を5センチ削り取る除染作業を開始。1年半かけて除染を完了し、13年に栽培を再開した。「栽培再開の前に山林、原木、シイタケのすべてを検査するのが大変だった」現在、ハウス5棟(18アール)でホダ木3万5千本を管理し、年間1トンを生産する。青柳さんは「規模を拡大し、より多くの原木シイタケを生産したい」と話す。

〈写真:「今後は、シイタケの植菌を終えてハウスが空く時期に、キクラゲ栽培に挑戦したい」と青柳さん〉