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放置果樹、電気柵など点検 被害額が9割以上減少【3月1週号 福井県】

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 【福井支局】「点検する必要性を農業者に意識づけることが大切」と話すのは、高浜町の合同会社エムアンドエヌ代表の松宮史和〈まつみや・ふみかず〉さん(39)。2015年に町の委託を受け「集落点検」の指揮をとり、農家主役の獣害対策体制構築し、取り組み前よりも被害額を9割以上減少させることに成功した。同社の集落点検は、田植え後から稲刈り後にかけて年3回実施。点検結果を町全体に公表することで、農業者の獣害対策意識を高めた。松宮さんらの点検方法は、地域の農業者や住民と一緒に集落内の電気柵や放置された果樹などを調べ、各地域の対策状況や不備を洗い出しながら農業者に改善を促す。動物を引き寄せる原因となる放置された果樹などの調査は、町内の全集落で実施。放置果樹や所有者不明の木に色分けしたテープを結び、点検結果を公表した。この取り組みで、当初は千本近くあった放置果樹は、22年度までに400本程度に減少。21年には農林水産省の獣害対策優良活動表彰を受賞している。「動物が賢くなり電気柵で防げないと話す人がいるが、点検すると不備があるために機能していない場合がほとんど」と松宮さん。「これからも農家をサポートしながら、若者を中心とした中間支援組織の育成指導に力を入れていきたい」と話してくれた。

〈写真:「獣害を減らすためには点検だけではなく、捕獲・防御・追い払いのバランスが重要」と松宮さん〉