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防風林「原発事故から12年。帰還できる環境整備を早く。【2023年3月1週号】」

 ▼東京オリンピック・パラリンピックをめぐる談合事件で、電通をはじめ大手広告代理店6社が起訴されるに至った。コロナ禍で感染対策を徹底しながらメダルを競ったアスリートたちやボランティアも含め運営を支えた関係者らを裏切る行為であり、許しがたい。
 ▼東京への招致が先行する中で2011年に東日本大震災が発生。"復興のシンボルに"とアピールし、20年の東京開催を引き寄せた。ただ、新型コロナの世界的な感染拡大を受けて1年延期となり、開催にこぎ着けると、都知事や首相は"人類がコロナに打ち勝った証し"と発言した。競技の東北開催もごく一部にとどまり、震災からの復興という意味を薄めてしまった。
 ▼招致活動中に当時の安倍首相は、原発事故に関して「アンダーコントロール(制御下)である」と胸を張った。事故の詳細も分からず廃炉のめども立たない状況での言動に驚き、落胆した。
 ▼復興庁によると、福島県の避難者は昨年11月現在でも約2万8千人いる。空間線量の高い浪江町などは住民の過半数が「戻らない」意向で「判断がつかない」との回答も2割ほど。政府には、帰還可能な環境を早期に整え、住民に示す責務がある。