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水ナス栽培に細心の管理 収入保険で備える【2月4週号 大阪府】

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 【大阪支局】「大きな災害が発生したときの収入減少と、病気やけがで農作業ができなくなったときに備えて収入保険に加入した」と話すのは、貝塚市の小川智彦〈おがわ・ともひこ〉さん(52)。両親と妻との4人で、水稲30アール(「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「マンゲツモチ」)、ハウス3棟28アールで水ナス(裏作=軟弱野菜)、キャベツ「松波」13アールを栽培する。水ナスは10アール当たり約900本定植。全量をJA大阪泉州へ出荷していたが、今年から新たに漬物加工会社への出荷が始まる。父の農作業にいそしむ姿を見て育ってきた小川さんは、「子どものころ、農業はやりたくないと思っていた」と苦笑い。会社勤めをしていたが、農業なら子どもたちに仕事をする姿を見せることができると33歳で就農を決意。「前職で充実した気持ちで満足できる仕事に取り組めたことも、家業の農業を継ぐきっかけとなった」と振り返り、「父が達者なうちにいろいろと農作業を教えてもらおう」と考えたという。2018年9月の台風21号では、ハウスのアーチパイプが曲がり、柱は斜めに傾いた。ハウスの資材がない状態だったが、水ナスの苗を注文してあったので何とか原状を回復、定植することができ、若干の収入減少で済んだという。「水ナス栽培では、ホルモン剤を利用した着果促進処理が一番手間のかかるメインの仕事。摘葉と花弁を除去してホルモン剤を散布する。灰色かび病などの病気の発生を防ぐため、花弁を一つずつ丁寧に手作業で取り除く」。小川さんは「最近、経費や燃料高騰の割に野菜価格が下がっている。今後は作型を変えるなどして工夫していかないといけない。どんな状況でも同じものを作れるようにしたい」と前を向く。

〈写真:着果した水ナスを見回る小川さん。病気の発生を防ぐため花弁は除去してある〉