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規格外・傷果を活用 果樹農家仲間とジェラートを販売【2月3週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】マンゴー10アール、パッションフルーツ5アール、茶50アールを栽培する中種子町の山浦拓己さん(48)。地域の果樹農家仲間と共に、規格外品や傷がついて売り物にならなくなった農作物を持ち寄り、ジェラートに加工・販売している。「手をかけて育てても、傷がついたり、大きさによって規格外品になったりと、味は変わらないのに出荷できず廃棄される農作物があることが悔しいと思っていた。自家消費するにも限りがある」と山浦さん。県のモデル事業「ポストコロナ農業生産体制革新プログラム事業」が後押しとなり、果樹農家仲間に声をかけ、加工品作りを始めた。「みんなに喜ばれるものを」と、賞味期限がなく、年中販売できるジェラートの商品開発に着手。現在販売する商品は10種類で、原料にはおのおの持ち寄った自家農作物を使っている。「砂糖の量や原料の比率、原料の質など組み合わせで味も口当たりも変わってくる。まだまだ研究中」と、より高品質な商品を目指し試行する。手土産に使ってもらえるように今後もさらにレパートリーを増やしていく予定だ。1年半前にジェラート作りを始め、現在は年間約2千から3千個を販売。「少しずつ売れ行きが伸びている。イベントなどに積極的に参加して知名度を上げ、商品を広く売り出したい」と販路開拓に意欲を見せる。実家の茶農家の後継ぎとして2013年に就農した山浦さん。茶業界の低迷を受けて新たな経営基盤の構築に向けて歩みを進めている。「相場が崩れにくく、安定した収入の確保が期待できる加工品で新たな経営基盤を確立しながら、茶農家の後継ぎとして今後の方針を固めていきたい」と笑顔を見せる。

〈写真:「商品購入の際は『種子島のやまうら農園』で検索してほしい」と山浦さん〉