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防風林「食料安全保障を支えるのは国民の行動【2023年2月3週号】」

 ▼昨年10月から始まった食料・農業・農村基本法の検証作業は、分野ごとの意見聴取と協議が一段落し農林水産省は基本理念や施策の方向を議論する次回以降の日程を示した。6月に中間とりまとめを予定する。1999年の基本法制定から四半世紀ほどに過ぎないが、検証作業を通じて情勢変化を実感した。
 ▼食料安全保障について基本法は、不測時の食料確保と分配に重点を置く。一方、国際的には「国民一人一人が健康な食生活を享受できる」状態を目指す平時の問題とされる。背景にある貧困や栄養不足のリスクは日本でも顕在化しており、経済的弱者対策や供給体制の在り方などが論点に挙がる。
 ▼コロナ禍とウクライナ情勢は、経済のグローバル化とともに張り巡らされた供給網を混乱させ、燃料や穀物(食料、飼料)、肥料原料などが軒並み高騰した。穀物の国際相場は一時期に比べ落ち着いてきた。だが、早期にコロナ禍前の状態に戻るのは難しいだろう。
 ▼政府は、過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換とそれを支える国内の供給力の強化を目指すとする。その実現には、農業・農村を向いた施策だけでなく、貧困問題などの解決も必要だ。国産を選ぶ国民の存在があってこそ、生産と消費の好循環を後押しする力になる。