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好評のサトイモ 品質さらに追求【2月2週号 広島県】

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 【広島支局】廿日市市浅原の兼本龍二さん(46)は、水稲3ヘクタール、サトイモ60アールを栽培。県内の道の駅や同市内のスーパーなどでサトイモを販売し、「お客さんから『粘り気が強く、昔ながらのサトイモでおいしい』と好評。これからもおいしいものを作り続けたい」と話す。兼本さんは「質の良いものを作りたい」と、土に堆肥を混ぜて軟らかくし、栄養を吸収させやすくするほか、連作障害を防ぐため、1年ごとに転作している。「4年に1度のサイクルで同じ圃場に戻ってくるようにしている。栽培する場所を変えることでサトイモの出来はいい」。サトイモ栽培は、地域の農家から種芋を分けてもらったことがきっかけで始めた。「受け継いだ種芋は実の太りがいい。浅原地区の風土に合い、地のものになっているこの種芋をこれからも守っていきたい」。年末ごろが最盛期というサトイモの収穫作業は11月中旬から始まる。新鮮な状態で届けるため、必要な量だけを出荷2日前に収穫していく。兼本さんのサトイモは同市内の学校給食に使われ、小学校から依頼される量を提供する。兼本さんと小学校とのやり取りに携わるJA佐伯中央の営農販売課・三村有延さんは「兼本さんのサトイモは県外の産地に負けないくらい大きくて質がいい。給食センターからは、大きくて調理しやすいと喜ばれている」と話す。兼本さんは「米作りをする父を手伝っていて、農業をやってみたかった」と、2008年に専業農家に転向。自身の経営のほか、高齢や人手不足などの理由で耕作できなくなった地域の水田約3ヘクタールの作業を受託する。農作業は兼本さん、妻、母と3人で取り組み、現状維持が目標だという。「ここの地域は人が少ない上に高齢者が多い。農作業を委託され、頼られることも多いが、できるうちは頑張りたい。サトイモも米もまだまだ品質を上げられる余地があるので、より良いものを作っていきたい」と話す。

〈写真:サトイモの乾燥作業に励む兼本さん〉