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かんきつ「フィンガーライム」 取引先に好評【1月4週号 奈良県】

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 【奈良支局】かんきつ類の「フィンガーライム」を栽培する田原本町の藤森克真〈ふじもり・かつまさ〉さん(51)、橿原市の柿本芳是〈かきもと・よしゆき〉さん(63)、天理市の西田将治〈にしだ・しょうじ〉さん(41)。3人が協力して取り組むチーム「フィンガー3」は、それぞれの圃場で管理方法などの情報を共有している。試行錯誤を重ね、収量を増やすとともに、取引先から好評を得ているという。フィンガーライムは、果肉の見た目から「キャビアライム」「森のキャビア」などと呼ばれている。果実は長さ4~8センチの円筒形。ライムのような酸味がある粒状の果肉がぎっしり詰まっている。果肉から果汁が出ないため、ほかの素材と混じり合うことなく料理に酸味を加えることができ、どんなジャンルにも合うと注目が集まる食材だ。3人はそれぞれ、同じ時期にテレビなどでフィンガーライムの存在を知ったという。「自分も手がけてみたい」と思い、長野県に出向くなどして苗木を手に入れ、2019年12月に栽培を始めた。3人は「当初、県内での栽培は『自分だけ』と思っていた」という。JAならけんの農産物直売所「まほろばキッチン橿原店」で販売したところ、自分以外にも栽培している人がいることを知った。「開花して1センチぐらいまでは実るが、その後は成長せずに落ちてしまう」と藤森さん。柿本さんと西田さんは「落果の原因が分からず、栽培が難しかった」と振り返る。21年から情報を共有するようになり、3人合わせて約20種類、190本を栽培。開花から約6カ月後に収穫する。いろいろな方法を試みた結果、今期は収量が増えた。出荷先の卸売会社「奈良うま直販フレッシュ」の森ゆかりさんは「確かな品質で、安心してお届けできます。取引先にも好評です」と話す。今後についてフィンガー3は「日本料理、イタリアンなどいろいろなジャンルの料理人にフィンガーライムを使ってもらえるようになりたい」と意欲的だ。

〈写真説明:割ると粒状の果肉があふれ出すフィンガーライム〉