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もみ殻くん炭+ぼかし肥料 野菜生育促進に威力【1月3週号 富山県】

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 【富山支局】黒部市宇奈月町の「株式会社アグリとりの原」は、昔ながらの方法で効率的に土壌を改良するため、「もみ殻くん炭」の製造・販売に取り組む。もみ殻くん炭を土に混ぜ込むと、土中の通気性、保水性などが向上し、作物が丈夫に育つ効果がある。マルチング資材として苗の株元にまくと、雑草抑制や土の保湿・保温効果も期待できるという。同社では水稲「コシヒカリ」「てんたかく」「こがねもち」を合わせて約34ヘクタール作付ける。もみ殻くん炭作りは2021年10月に本格的に始めた。もみ殻をくん炭器の中で煙が出なくなるまで約3時間燃やし、表面に少量の水をかけて蒸気を発生させ、完全に密封する。翌日までそのままにし、シートに平らに広げて乾燥させると完成だ。「工程は難しくないが、着火を確実にすること、消火の確認をしっかりすることの2点は守らなければならない」と同社代表の中康史〈なか・やすし〉さん(65)。燃焼中は大量の煙が出るため、事前に近隣住民の許可をとるなど配慮しているという。自社製のもみ殻くん炭に納豆や乳酸菌を混ぜ、3回発酵させた「もみ殻くん炭ぼかし肥料」も製造。くん炭とともに昨年2月に製造販売許可を取得した。原材料はもみ殻と有機物で、有機栽培農家や造園業者から注文があり好評だという。自社サイトに掲載したところ、県外の農家からも注文があった。購入者にはリピーターが多い。同社産の野菜にもくん炭とぼかし肥料を使う。「生育が良くなった。以前より大きく、おいしい野菜が収穫できた」と中さん。「くん炭を土に混ぜ込む場合は土の1割程度の量が目安だが、化学肥料と違い、きっちり量らなくてよいので使いやすい。さまざまな効果があるもみ殻くん炭が広まってほしい」と話す。
 ▽もみ殻くん炭=1袋40リットル1500円、もみ殻くん炭ぼかし肥料=2500円▽直接販売のほかオンラインショップでも対応▽どちらも湿気のないところで約2年間保存が可能▽ホームページ=https://torinohara.com

〈写真:くん炭は土に混ぜ込むほか、種の上や苗の株元にひとつかみほどまいて使う(写真提供=アグリとりの原)〉