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モウソウチクを竹炭で利用 米の収量維持に奏功【12月2週号 長崎県】

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 【長崎支局】JA壱岐市青年部那賀支部(支部員23人)の支部長・吉井文数さん(39)は、伐採したモウソウチクを竹炭に加工し土壌改良資材に活用する。同支部では、地元の小学生と学童農園を通じて交流する「壱岐ダッシュ村」の活動に取り組む。18年6月に壱岐市がSDGs(持続可能な開発目標)未来都市に選定されたことを機に、SDGs達成に向けた活動を始めた。吉井さんは「環境保全のため伐採するモウソウチクは、今まで焼却処分していましたが、竹炭にすることで土壌改良資材となり、製造時に取れる竹酢液は野菜の虫よけとして活用できると知り、取り組みをスタートしました」と話す。竹炭作りは、竹を50センチ程度に切りそろえ、3カ月ほど乾燥。その後、廃材のペール缶を窯にして複数回焼く。「少人数に分かれての作業で普段と勝手が違い、苦労する部分が多かったです。最初は未炭化の竹炭が多くありましたが、試行錯誤を重ね、うまくできるようになりました」。出来上がった竹炭およそ30キロは、壱岐ダッシュ村で作付けするもち米の圃場10アールに砕いて散布し、地区内の畜産農家から提供された牛ふん堆肥と一緒に混ぜ込む。「化学肥料の使用量をこれまでの約半分にしても収量が変わりませんでした」と吉井さん。副産物の竹酢液は、壱岐ダッシュ村で栽培するジネンジョに葉面散布すると、虫食い被害が減り、これまでより大きいサイズのものが収穫できたという。

〈写真:切った竹をペール缶いっぱいに詰め、竹炭になるまで複数回焼く〉