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土作り重視の栽培 干し芋をプレス、甘み生かした菓子に【12月2週号 茨城県】

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 【茨城支局】サツマイモ「べにはるか」を2ヘクタールで栽培する東海村の圷正生〈あくつ・まさのり〉さん(79)は、収穫後は大部分を干し芋に加工し、新たな商品を開発した。栽培面では、農薬の使用を控え、土に残った根や小さな芋は線虫対策としてすべて掘り起こす。土壌くん蒸剤は不使用。有用微生物を利用した土作りに力を注ぎ、芋の甘みが増したという。甘みをさらに凝縮し、砂糖や添加物を一切使わず素材の味を生かすのが、特許を取得したオリジナル商品「ぷれすた」だ。干し芋をプレスした菓子で、正生さんの直売所のほか、道の駅やアンテナショップ、通販サイトで販売している。ぷれすたを開発するきっかけは、2016年の展示イベント「農業WEEK」で、カキをせんべいにした商品を見たことだ。「こんなに水分があるものが、せんべいになるのか」と、出展者に話を聞き、試しに干し芋を焼いてもらった。歯応えがあり、干し芋を新しい形で提供できるのではないかと製造を開始。最初は「芋薫〈いもくん〉」という名前で販売し、その後は試行を重ね、ぷれすたが出来上がった。商品名は、プレス(press)と干し芋を星(star)に見立て、掛け合わせた造語。「おせんべいタイプの干し芋の名前を定着させ、干し芋界のスターを目指そう」という意味を込めている。干し芋の賞味期限は通常は1カ月程度だが、ぷれすたは1年持つ。売りに出せる幅が広がり、県内だけではなく都内の自然食品に特化した店舗でも取り扱う。今後は海外に進出していくため準備中だという。正生さんは新しいことへチャレンジする際のリスクや、近年は基腐病が確認されているため、不安を少しでも軽減できたらと収入保険に加入している。「収入保険でいざというときに備え、質の良いものを提供し、消費者に喜んでもらいたい」と話す。

〈写真:「ぷれすた」は、ぱりぱりさくさくの食感〉