【岡山支局】「その年の売り上げに基づいて保険金が支払われるので、納得しやすいと思い加入しました。それに加えて特例で収入や規模の増加など、個人の現状が補償に反映されるので、制度が充実していると感じましたね」。こう話すのは、吉備中央町でブドウとモモを栽培する本郷達郎〈ほんごう・たつろう〉さん(39)。就農当初は果樹共済に加入していた。収入保険に移行した決め手は、青色申告書類という目に見える根拠資料を基に、全体の補償金額や支払額が決まる「分かりやすさ」からだ。就農当初から青色申告を実施していたこともあり、スムーズに移行できたという。2022年2月、家族全員が新型コロナウイルスに感染した。モモの剪定(せんてい)時期と重なり作業は遅れたが、収入保険に加入していたことで、優先順位を冷静に判断できたという。「収入が落ちても大丈夫という安心感があり、無理せず作業を切り上げることが必要だと思いました。計画よりは減収する予測ですが、被害を最小限に抑えられたので、保険金の請求はせずに済みそうです」。「問題が起きると、2人では遅れを取り戻すにも限界があります」と夫婦での経営に不安はあるものの、「何かあっても対応できるように、作業効率を上げて品質向上を第一に考えていますが、その中で収入保険はお守りのようなものですね」と笑顔を見せる。
▽ブドウ50アール=「ピオーネ」「オーロラブラック」「シャインマスカット」、モモ10アール=「清水白桃」「おかやま夢白桃」
〈写真:「収入が安定しづらい農家を支えてくれる保険の存在は大きい」と本郷さん〉