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皆伐の山に植樹 蜜源の森づくり【12月1週号 広島県】

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 【広島支局】神石高原町上(かみ)にある「神石高原日本ミツバチ研究所」所長の東〈ひがし〉一史さん(71)は、2015年に同研究所を設立し、ニホンミツバチの生態を研究するほか、巣箱を開発・製作する。「ニホンミツバチは自然そのもの。ニホンミツバチを増やすことで自然豊かな町にしたい」と東さん。蜜源の森づくりなど新たな取り組みが進められている。同研究所では、巣箱の管理とともに採蜜・加工し、蜂蜜やミツロウ(ミツバチが巣作りのために作り出すロウを精製したもの)を販売。誘引しやすい巣箱の作り方を指導するほか、希望者には販売する。ニホンミツバチについて語り合うサロンや巣箱作りの工房を兼ねていて、養蜂家などが訪れるという。東さんは、全国約150人の会員に向けてインターネットで情報を発信。飼い方などを個別にアドバイスする。最も力を入れる活動が、皆伐された山にニホンミツバチが好む木や花を植え、蜜源の森にする取り組みだ。今年2月、神石高原町観光協会の協力でクラウドファンディングを実施し、集まった資金でヤマザクラとエゴノキを100本ずつ購入。その山を「三和 蜜の里山」と名付け、4月末に開催した植樹祭には町内外から約80人が参加した。植樹祭は来春も開催予定で、「子どもたちが昆虫や植物採集をしたり、地域の人が花見をしたりするような森にしたい」と東さん。同観光協会の冨山公明専務理事は「豊かな広葉樹林の森として、季節ごとに楽しめる観光名所となるよう、これからも協力していきたい」と話す。小学校の教員をしていた東さんは「子どもたちにふるさとの山は宝の山だと感じてもらいたい」と、ニホンミツバチの飼育授業を始め、その授業をきっかけに現在の活動を始めた。「豊かな自然を守ることでふるさとに貢献し、みんなに喜んでもらいたい」と話している。

〈写真:「一緒にニホンミツバチを育てましょう」と東さん〉