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全国で評価高い「ワレモコウ」 ブランド守り需要に応える【11月4週号 山形県】

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 【山形支局】「作谷沢〈さくやざわ〉のワレモコウは、首都圏を中心に全国でも高い評価をいただいている。地域の生産者が築き上げてきたブランドを守り続けたい」と話すのは、山辺町作谷沢の渡邊凜太〈わたなべ・りんた〉さん(29)。従業員5人を雇用し、ワレモコウをメインに、ソリダコやチョウジソウなど約10品目30品種の花きを1.5ヘクタールで生産する。就農のきっかけとなったのは、渡邊さんより先に就農した父・知広さんの存在だった。生き生きと取り組むその姿を見て農業に魅力を感じたという。6年間勤めた会社を2018年に退職し、県立農林大学校などで1年間研修を受けた。効率的に作業するため、同町の中心部から畑のある作谷沢地区に転居し、父と同じ花き農家として19年に独立就農した。6月から10月ごろにかけて開花するワレモコウは、主に観賞用として親しまれている。多年草で、株の植え替えは5年に1度ほどでよいものの、うどんこ病やさび病が発生しやすい。2メートルほどまで背丈が伸びるため、ホースを使う消毒が大変なことや、利益率が低いことなどから、同地区の生産者は8人ほどに減少している。渡邊さんは、同地区でワレモコウを栽培するベテラン生産者に指導を受け、技術の向上に努めている。経営面では、冬季に出荷できるバラ科のローズヒップを本格的に導入することで、収入安定を図る計画だ。さらに試験的に栽培する多くの品目の中から、余力のある期間に出荷できる花を選定し、多品目を栽培することも検討している。「今年の冬は東京の生花市場で研修を受け、栽培だけではなく、市場動向を感じ取ることで、生産に生かしたい」と渡邊さん。将来は法人化を視野に入れるとともに、「ワレモコウは品種によって栽培方法が異なるため難しい。需要に応えられるようこれからも頑張っていきたい」と意欲を見せる。

〈写真:「ワレモコウの出荷を今年も無事に迎えられた」と渡邊さん〉