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獣害ゼロへ緩衝地を整備 遊休農地の除草をヤギで実証へ【10月4週号 福島県】

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 【福島支局】天栄村では、野生動物が身を隠せない緩衝地帯を造り、鳥獣害を軽減する緩衝地帯管理実証事業として、遊休農地の除草にヤギを導入。副次的効果として、法面〈のりめん〉や畦〈あぜ〉などの除草にも期待している。ヤギの放牧は、2022年6月に2頭から始まった。同村の白子志古山〈しろこしこやま〉地区の遊休農地17アールをフェンスネットで囲い、仮設畜舎を配置。雑草の増加量がヤギの採食量を上回ったことから、9月に2頭追加し、現在は4頭となった。ヤギは放牧地に常駐。日常的な飼育管理は同村のシルバー人材センターに委託する。同村産業課の桑名潤一副主査は「放牧初日にヤギが逃げてしまうなど予想外のことが多く、勉強の日々です」と話す。現在はリーダー格のヤギ1頭に首輪などを付けたところ、残り3頭は放し飼いでも逃げないという。緩衝地帯の整備は順調に進んだが、夏の雑草の成長は早く、全長3メートルを超えるほどになったため、人間による整備が必要となった。つるに細かいとげがある植物「カナムグラ」をヤギはほとんど食べないことも分かったという。資材面では、ヤギがフェンスネットを体や角をこすりつけ破いてしまうため対策を検討中だ。実証地の近所でネギ70アールを栽培する車田京子さん(46)は「イノシシを見かけることが少なくなったように感じる。土手の除草のために飼育してみたい」と事業への関心を示す。同地区では、21年8月にイノシシを5頭捕獲したが、事業開始以降は捕獲や被害報告はない。実証事業は22年10月まで続け、鳥獣被害の状況を確かめる。桑名さんは「効果が確認されれば、傾斜部や範囲を広げての実証を検討していきたい」と話す。

〈写真:放牧地の仮設畜舎の前で「ヤギは自分の背丈より高い草も食べます」と桑名さん〉