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地域とつながり環境を大切に 有機JAS米+特別栽培米【10月3週号 石川県】

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 【石川支局】「生き物と共生し環境に配慮した米作りを続けていきたい」と話すのは、中能登町小田中で水稲22ヘクタールを耕作する「いまい農場」の今井耕平さん(38)。作付けする水田のうち2ヘクタールが有機JAS米、13ヘクタールが特別栽培米だ。品種はどちらも「コシヒカリ」で、オリジナル米「平右ェ門〈へいよもん〉」はインターネット販売やふるさと納税の返礼品として人気を集めている。耕平さんは、勤めていた会社を2013年に退職して就農し、後継者として、父の清博さんと農作業に励む。有機JAS認証を取得したのは02年。使用する資材や圃場、生産管理などの厳しい基準をクリアしなければならない。同農場は認証機関の審査を毎年受け、基準を満たし続けている。農薬・化学肥料を使わないため、特に雑草防除に気を配るという。田んぼの4辺をあぜ塗りし、雑草の侵入を防ぐ。代かきを均平にし、草が生えにくい環境をつくり、深水栽培を採用することで草の成長を抑制している。17年には県の特別栽培農産物認証を受けた。県の基準では、化学肥料と化学合成農薬の使用を慣行栽培から5割以上減らすこととしているが、同農場では有機肥料を使い化学合成農薬を8割以上減らしている。「品質向上には土作りが大切」と耕平さん。刈り取り後は次年の土作りのため、山から土を運びハウスで乾燥し、有機肥料と混ぜる。肥沃〈ひよく〉な土壌では、うま味が凝縮した米が育つ。さらに、多様な生き物が集まる。07年から地域の子供たちと専門家を交えて生き物調査を実施。国や県指定の絶滅危惧種を含めた40種以上の生き物が発見されている。自然災害や価格変動など幅広くあるリスクに備えるため、収入保険には制度開始当初に加入した。耕平さんは「これからも地域とのつながりを大切にして、環境に配慮した米作りを続けていきたい。いずれは直売所の開設や6次化も進めていけたら」と将来を見据える。

〈写真:「大変なこともあるが、お客さんからの『おいしい』という声が励みになる」と話す耕平さん〉