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高圧温水を用水路へ噴射 ジャンボタニシ駆除に成功【10月2週号 大分県】

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 【大分支局】玖珠町の有限会社サンケンでは9月22日、高圧温水を使ったジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の駆除テストを同町内の水田と用水路で実施した。生産者、JA、行政機関の職員ら約20人が参加し、農薬を使わず熱湯だけで駆除効果を検証。85~98度の熱水を1平方メートル当たり15秒間噴射し、テスト圃場では卵塊と成貝ともに100%駆除できた。同社は土木系資材を取り扱う商社で、環境事業部を2022年に設置。高圧洗浄機を使用した高圧温水除草事業に乗り出している。同社環境事業部の武石博部長は「農薬を使わない駆除方法は環境への負荷を抑えられます。園芸ハウス近辺のアザミウマなどを駆除していたところ、県西部振興局の働きかけで、ジャンボタニシの駆除に挑戦することになりました」と話す。耐寒性に劣るジャンボタニシは、マイナス3度以下になると多くの個体が死滅する。しかし、1割ほどの個体は厳寒期に地中や用水路などの比較的暖かい箇所で越冬し、水温が上がる田植え時期に稲の食害を引き起こす。その後、初夏に用水路の壁面やあぜの植物に産卵し、10日ほどでふ化。幼貝が秋には成貝となり、また越冬するという生態サイクルを繰り返す。武石部長は「ジャンボタニシの特性や実験結果から、土用干し時期の卵塊と稲刈り後に越冬する成貝を、用水路近辺で駆除するのが最も有効です。駆除効果を高めるためには、水田内の越冬個体数を減らすことが重要です」と話す。

〈写真:ジャンボタニシの卵塊に向けて85~98度の熱水を噴射〉