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あきたこまちに乳酸菌散布 玄米の魅力をハパライスで【10月1週号 秋田県】

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 【秋田支局】湯沢市大町にある株式会社鈴木又五郎商店(鈴木達夫代表取締役)では、乳酸菌成分が含まれた「あきたこまち」の玄米と白米を配合した「HAPA RICE(ハパライス)」を発売。栄養価の高い玄米をおいしく食べられると評判だ。同社は肥料や農薬、米を扱う創業132年の老舗卸会社。開発した鈴木アヒナ麻由専務取締役(34)は、米国ハワイでセラピストとして働いていた経歴を持つ。ハワイでは「ハパ」は混ぜるという意味で、ハパライスが一般的に親しまれていた。鈴木専務は「健康や美容を意識して玄米を食べる人が多かった。日本では敬遠されがちだが、体に良い効果がある、おいしいものだと広めたかった」と話す。帰郷後にあきたこまちでハパライスを試作。「もちもちとした食感で食べやすかった」と振り返る。商品化に向け、関連会社の合同会社カネマタファームが4ヘクタールで作付け。乳酸菌は催芽と育苗期、田植え後の入水時、収穫間際の4回散布する。「ぬかを柔らかくし、玄米特有のにおいを軽減する効果がある」と鈴木専務。根張りを良くし、倒伏しにくくする効果もあるという。2020年に発売したレトルトパックには、コレステロールを下げる効果があるといわれる乳酸菌パウダーを添加。「1パックにヨーグルト1個分の乳酸菌が含まれている。酸味やにおいを感じることはなく、手軽に食べてもらえる」と説明する。レトルトパックの開発では、玄米と白米の配合量のほか、乳酸菌含有量や水分量、蒸し時間を変え、55種類ほど試作。玄米と白米の割合2対3に行き着いた。「生米は、水を増やし数時間浸水してから炊飯する手間があった。レトルトにすることで、ベストな状態で食べてもらえると考えた」と開発のきっかけを話す。商品はインターネットのほか、横手市のスーパーモールラッキーや道の駅十文字で販売する。スーパーモールラッキーの小原まどかさんは「玄米と白米の配合量が考えられていて食べやすい。鈴木専務は若い女性のお手本的存在で期待している」と話す。現在、ハパライスの玄米を使ったパンケーキミックスを販売するほか、みその販売も予定している。鈴木専務は「もうかる農業のビジネスモデルをつくり、秋田の米を盛り上げていきたい」と意欲的だ。

〈写真:ハパライスを手に「玄米や健康食に興味がある人の入り口になれたら、うれしい」と鈴木専務〉