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青枯病対策に成果 パプリカ安定生産【9月2週号 山形県】

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 【山形支局】パプリカの産地化を目指し、2007年に戸沢村で設立された「戸沢村パプリカ栽培研究会」(松坂雄一会長)。現在は同村の認定農業者を中心に7人で栽培を続けている。会員の一人、津谷地区の齊藤輝仁〈てるよし〉さん(53)は、水稲3.3ヘクタールのほか、パプリカ1800株をハウス6棟(17アール)で栽培。「年間8トンの収穫量を確保していきたい」と話す。齊藤さんは家業の稲作を継ぐため、勤めていた職場を38歳で退職した。育苗ハウス2棟を新築した際に、パプリカ栽培を同村産業振興課の担当者に勧められたことがきっかけで研究会に参加。村から紹介された青森県の肥料会社の指導を受けながら栽培方法を確立した。栽培1年目は上々の出来だったが、2年目は青いまましおれてしまう青枯病が広がり、収穫量は半分となった。そこで、同村と研究会メンバーで勉強会を企画し、台木(「台パワー」)を用いた接ぎ木栽培に取り組み、病菌の繁殖を防ぐことに成功。その後は安定した収穫量を確保している。齊藤さんが栽培する品種は、赤い「コダイラ」や黄色の「コレッティ」など。4月下旬と田植え後の6月上旬に株間約45センチで毎年定植する。その後は小まめに芽摘みをして、7月下旬から10月下旬にかけて1株から60個ほど収穫できるという。市場への出荷やインターネットでの販売が中心で、「パプリカは完熟出荷となるため、市場から理解を得ることが難しかった」と齊藤さん。実割れや変形などの規格外品が多く発生するため、その量をいかに抑えるかといった課題がある。同村のパプリカは、化学肥料を使わず、牛ふん堆肥を主体とした有機肥料を施す。研究会メンバーの多くはエコファーマーの認定を取得し、環境に配慮した農業を実践する。

〈写真:水稲とパプリカの栽培を今後も継続していくという齊藤さん。「仕事と趣味のバランスをうまくとって、楽しみながら農業をしていければ」と話す〉